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4年に1度開かれるそれは、王位を巡る殺し合いだ。
勝ち残りトーナメント形式で、参加者同士は闘い、勝ち上がった者は現国王との一騎討ちになる。
そして勝った方が王位を手に入れることができる。
この国の一大イベントを一目見よう、と国中から王都に人々は殺到する。
「まぁ、オリンピックみたいなもんだよねぇ。」
「へぇ、ニホンも同じような形式を取っているのですか?では、やはり、勝った人が王になるのでしょうか」
「日本というか、世界規模で、国の代表同士が闘うんだよね。王にはなれないけど、その国の英雄にはなれるかな。」
「英雄!それは素晴らしいですね!」
いや、待てよ。
よく考えたらオリンピックは殺し合いじゃなくてスポーツの祭典だし、トーナメント形式でもない。
それでも、異世界の情報に、友人は蒼色の目を輝かせた。
「そのオリンピックっていうのにもマコトさんは参加されたことがあるのですか?」
「いや、私なんて何の取柄もないし、とても参加できないよ。」
「なんと、そちらの世界には強い方々がたくさんいるのですね!驚愕です。」
完全にオリンピックのことを取り違えているが、そこは敢えて訂正しない。
「さて、」
2人は立ち止まった。
目の前のレンガ作りの大きな門には人々が犇めき合っている。
「マコトさん。王位継承戦の参加を辞めるとしたら今しかありませんが、、、本当にいいのですか?」
「うん、やめないよ。今日のためにアーサーと一年間修行をしてきたんだから。」
そういうとアーサーは黒色のあほ毛をぴょこぴょこさせながら首を縦に振る。
「そうですね。マコトさんならきっと国王になれますよ!さぁ、行きましょう。」
人々の波を掻き分けながら2人は王都の門をくぐった。
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