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城内はそわそわとしている。
一週間後には城の主が変わっているかもしれないのだ。
その中いつもと何ら変わらず過ごす男が一人。
紫のマントを翻し歩くその人物を見ると兵士たちは慌てて頭を下げた。
「おはようございます、スヴェン隊長。」
オールバックの万年仏頂面。
スヴェン・フォン・バイルシュミットは側近のウルースランを連れて廊下を歩く。
その男は中庭で薔薇を見つめている古くからの知り合いを見つけるが歩みを止めずに
馬鹿な男だ、と一言呟くとそのまま通り過ぎた。
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よかった、まだこの薔薇があって。
でもこの薔薇が似合っていたあの方はもういないのだ。
男はそっとその花びらに触れた。
赤い薔薇の上では水滴が光を反射してキラキラと光っている。
王位継承戦なんてどうでもいい。
今の王がどうなろうと構わないし、次の王がどういう奴でも構わない。
俺は、あの方が戻ってくればそれでいい。
他のことなんてどうでもいい。
ナイト・コートフィールドは心の中でそう呟いた。
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