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「そんなことないって言ってるじゃん!」
このわからずや!
冷静に返答するニクラスに腹が立って つい、ムキになってしまう。
「確かに、そんな村もあったかもしれない。けれど、それを救うのが国王じゃないですか!」
「そういった村はレジスタンスも生まれやすい。ならば我々にとっても無くした方がいいに決まっているだろ。それに救ってやったのだ。」
「違う!その行為こそがレジスタンスを生む!あなたたちは罪無き国民まで焼き払った。レジスタンスだけを排除すればいいものを!でも、だとしてもレジスタンスを拷問して殺したのは私は許せないけれどさ!」
言葉にするだけで仲間の無惨な死が、身に受けた拷問の痛みがズッシリと心に乗し掛かってくる。
心無しか手の平の古傷が疼いて拳を握った。
「あ?」
怪訝そうにニクラスはこちらを見据えた。
赤色の瞳は炎を映して燃えているにも見える。
「お前、レジスタンスだったのか?」
「殺すのが目的なのであれば、すぐに殺せばいい。なのに、、、よくも仲間をなぶり殺してくれたね。あれは、あなたの趣味?」
目元が意に反してピクピクと動く。
「俺が興味ありそうにみえたか?あんなのに意味などない。」
意味がない??
ではなぜ仲間はあんなに苦しみながら死んでいったのだろうか。
せめて、見せしめだったらまだ良かったのに、仲間たちの死に本当に意味がなかったのだったら。
自然と涙が頬を伝った。
いや、今は泣いている場合ではない。
頬をすばやく拭うとマコトはニクラスを見据えた。
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