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・・・・・・
「はああ!?まさか、あのニクラスが倒れたってのかい。」
「あぁ、城中その噂で持ち切りだ。」
厨房でアナベルとトニが話しているのを聞いて食堂の床を箒で掃いていたハナは手を止めた。
ニクラス国王が失脚した。
自分には関係のないことだと思っていたが、実際にそう聞くと考えてしまう。
何か、何か変わるかもしれない。
そんな淡い期待を抱いた。
・・・・・・
「俺は認めない。」
「何故ですか?」
首を横に振る第二兵隊長のライトにマキは頭を傾げた。
「女、だ。」
「私だって女です。女だからって差別しないで下さい。」
「いや、お前は別だ。実力がある。」
そういうとライトは片眉を上げた。
「いいか?ニクラスを倒したって事は、ニクラス以上の剣術、魔力があったってことだ。まぁ、剣術はともかく魔力なんてあり得るか?」
「ま、まぁ、しかし、、でも実際魔法で倒したと聞きました。」
「本当か?なんかインチキ魔術でも使ったんじゃねぇのか?」
「それは、実際試合を見ていないので私からは何とも言えませんが、、、」
「だろ?」
だから、俺は新王は認めない。
そう言うライトを見てマキは目を反らした。
私は元々国王、という地位があまり好きではない。
あいつらはふんぞり返って玉座に座っているだけで、まともな事をしない。
そもそもそんなに国王と接する機会なんてないだろうし、隊長が国王のことを気に入らなくても影響はないだろう。
マキは空を見上げた。
そこにはどこまでも青空が広がっていた。
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