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唐突だが俺はいつも電車に乗って学校に通っている。
一時期幼馴染みの禊を自転車の後ろに乗せて朝靄の残る町並みを滑走していたこともあったが、正直遅刻回数がエグいことになっていたのでやめた。
禊はとても不満そうな顔をしていたが……
というかなぜ俺が毎朝起こして飯食わして学校行かせねばならんのだ、お前は俺の子か。
普通逆だ、逆。
というか幼馴染みは清純で美少女で純血でなければいけないのだ。
なのにあいつときたらもう……
俺は何処の寝取られモノの主人公だ。
まあそれもこれもあのクソ姉貴のせいなので責めるのはお間違いって奴だが。
『ドアが閉まります、駆け込み乗車はお止めください』
「あっやべ」
ぼっち特有の脳内独り言を垂れ流していると、お馴染みのプシューという音を立ててドアが閉まってしいそうになる。
「っ……っぶねぇ」
付けていたイヤホンを揺らし、滑り込むように電車に乗り込んでドアの端に寄り掛かると、目の前にはやはりヤツがいた。
ヘッドフォンを付けてここまで聞こえてくるほどの大音量で音楽を聞きながら、ブレザーの下にはフード付きのパーカー。
身長150センチほどの小柄な体格にショートカットでストレートの黒髪。
小顔で綺麗めな顔立ちだが、身長と服装も相まって可愛い感じの印象を受ける。
相当モテそうなもんだが、何を隠そうこいつは同じクラスで俺と同じぼっち。
1年C組出席番号27番、吉倉春萌。
スカした顔してやがるがこいつ、俺のストーカーだ。
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