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カズサのストレートな言いぐさを心配してか、イナミが口を開いた。
「自殺した人間は直ぐに使徒になる場合が多いですが、そうでない場合もあります。その場合、多くは自殺未遂となっています。その間……つまり、使徒になる前に人のまま死なせてあげる仕事……それが殺件です」
「使徒化する予定の人間……そんなの、どうやって見分けるんですか?」
「さっき説明しただろ。呪具には攻撃以外のものもあるって。使徒化する人間を事前に見分けられるヤツがいるんだよ」
「でも……人殺しであることは変わらないですよね」
「そうだ」
「……私は使徒会がそんなところだって聞いてないです」
イトノの声は僅かに震えていた。
「何の仕事だって聞いてるんだ?」
「悪魔から人間を救う組織だと聞きました。その上で、悪魔千体討伐のノルマもクリアできるって……」
「人を救う手段に、人殺しも含まれるってことだ」
「そんなの……おかしいです。だってその人たちは……人間ですよ。ただの人殺しじゃないですか! 何でそんなことができるんですか!」
「……」
無言のカズサにイトノが苛立った声を上げる。
「何か答えてください」
「……何でも聞くんじゃねぇ。自分で考えろ」
イトノは膝の上の手を固く握った。
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