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「大事なことははぐらかして……。どれだけ考えても理解できる気がしません」
「それじゃあ、ここを抜けるか?」
イトノは唇を噛み、カズサを睨んだ。
「……その方がいいかもしれません」
立ち上がり、背を向けて歩くイトノを見ても、カズサが呼び止める気配はない。
乱暴に頭を掻いて「扱いにくいヤツだ……」と吐き捨てるカズサを前に、イナミが肩を揺らして笑う。
「ここに来たときのカズサ大佐とそっくりですよ」
カズサは大きな溜め息をついて、イナミから資料を引っ手繰った。
「出ていくヤツは追わない。それが使徒会のルールだ。上には俺が報告しておく」
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