13人が本棚に入れています
本棚に追加
二
次の日の任務も、カズサとイトノはツーマンセルを組まされた。
タロウ大将直々の命令であるが、カズサにとっては悪意しか感じない。
助手席に座るイトノは、いつもの不機嫌そうな顔で、流れる渋谷の街並みを眺めていた。
車中、一言も話さない後輩を横目に、カズサが話題を捻り出す。
「そういや、神泉にいい焼き鳥屋ができてよ。そこの親父が勧めてくれた……」
「知りません」
「俺の好きな……」
「うるさいです」
渋谷の交差点に近づく頃には、カズサのイライラが限界に達していた。
怒りを抑える為に口を閉じたところで、今度はイトノが会話を振った。
「悪魔の出現場所って事前に探知できるんですか?」
カズサはブレーキで速度を落とし、ハンドルを切りながら答えた。
「使徒の能力ってのは戦闘用だけじゃねぇ。探知能力や防御結界を作れるやつ、回復促進能力を持つやつもいる」
質問を投げかけた割に、イトノの返事はなかった。愛想というよりも礼儀の問題だ。
カズサが説教を始めようとしたところで、探知班が示したビル群に到着。
カズサは車を止めると、イライラをぶつけるように乱暴にドアを開けた。
最初のコメントを投稿しよう!