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 頭に手を置くのは当時の癖だったが、サラサラな髪の感触を感じた後に「しまった」と気づいた。  イトノはカズサの手を振り払うと、犬歯をむき出しにして抵抗した。 「何やってるんですか! 触らないでください! 変態!」 「お前、マジで顔が真っ赤だぞ。熱があるなら車の中で休め。ここは俺一人でも……」  思い切り足を踏まれたカズサが、声にならない悲鳴を上げてイトノの背を睨む。  イトノはアスファルトを踏み鳴らしながら、ビルの方角に向かって歩いていた。
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