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序
使徒会大佐「箕浦(みのうら)カズサ」は、任務の段取りを考えながら、新しく入った新人の顔を思い浮かべる。
心の中で決めたあだ名は、ザ・クラス委員長。
真面目そうな銀縁のメガネに、行儀よく肩に座ったサイドテイル。
威風堂々、悠然と歩く姿には、貫禄さえ感じるが、見た目は若い。
大学生というところか。
可愛い顔に似合わない、ムスッとしたしかめツラを下げたそいつの第一印象は――。
最悪。
だが、その印象を抱いたのは、カズサだけではない。
使徒会の他の構成員も、愛想のない新人に辟易としていた。
新人はカズサなど眼中にないという無視っぷりで、真横を通り抜けて前に出た。
「おい」
背中に向けて放った言葉は届いているはずだが、新人は振り向こうとすらしない。
怒気をはらんだ声が、トンネルに木霊して消えた。
新人は歩きながら腰の脇差を抜き出すと、迷いなく自らの腹に刃を押さえ付けた。
切腹自殺。
力強く掻っ切るシルエットが逆光に映え、苦悶の声が漏れた。
トンネルの出入り口から漏れる光が、グロテスクに踊る腸の影を落とす。
流れる血は――次の瞬間、彼女の身長を超える両刃の斧に変わっていった。
「一人で突っ込むなッ!」
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