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 二十畳以上はある畳部屋の向こう側、開いた障子の先に庭園が広がる。  使徒会の任務を通達する通達室だ。  カズサとイトノが入ると、使徒会の制服を着た若い女――「神塚(かみづか)イナミ」が、長机でノートパソコンを睨みつけていた。  イナミは後ろでまとめた長い髪を揺らしながら、忙しなく書類を整理し、時折、モニタを睨みつけては、キーボードを操作する。  カズサは座布団の上であぐらをかくと、小間使いが入れた茶を一気に飲み干した。 「次の任務があるって聞いたんだが……」  使徒会に到着するころには、カズサの身体もある程度回復していたが、内部的なダメージまでは癒えていない。  カズサの状態に気づいてか、イナミは最初に「今日中の任務ではありません」と断った上で書類を提示した。  カズサの斜め後ろに座るイトノは、いつも通り不機嫌そうに口を引き結び、つまらなさそうに庭を眺めている。  カズサは気にせず、正面のイナミに視線を戻した。 「任務の内容は?」 「殺件(さっけん)です」 「どうりで俺ご指名って訳か……」 「殺件って何ですか?」  イトノの質問にカズサが端的に返す。 「人を殺す仕事だよ」 「はい?」  眉を寄せ、明らかな不満を示すイトノ。     
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