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三
カズサはイトノの背を追いながら思う。
イトノの戦闘能力は高い。彼女が言うように、一人であっても十分戦えるだろう。
しかし、使徒会の方針は「分隊や小隊を組んでの連携戦」が基本であり、チームワークが肝になる。
何故なら、使徒にも「終わり」があり、能力を補いあって戦う方がリスクが減るからだ。
特に最近は階層の深い強力な悪魔が頻出しており、単独だと小さなミス一つが命取りになり兼ねない。
「……という訳だから連携が大事なんだよ」
カズサは建設中ビルのエントランスを歩きながら説教を続けた。
素材剥き出しの廊下を歩くイトノが、前を歩きながら口を尖らせる。
「……でも、使徒って怪我しても再生するじゃないですか。無敵だから火力で上回れば、いつか勝てるんじゃないですか?」
「お前、よく今まで無事でこられたな」
「確かに使徒は再生する。だが、いくつかルールがあるんだよ」
イトノが立ち止まり、振り返って鋭い視線を返した。
「ルール?」
「その一、頭と胴体を切り離した時、頭の方から再生する。その二、再生のスペースがない場合、再生は行われない」
「つまり?」
「悪魔に頭部を喰われると再生できない」
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