故郷

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 新幹線に揺らされて3時間半ぐらいで岡山駅に着いた。そこから山陽本線に乗って一時間ちょっとで三石駅に降りた。 ここはなんにも変わってない。駅から見えるレンガ工場の煙突を眺めながら深呼吸をしつつ感傷に浸っていた。 背後から呼ぶ声がして、振り返ると懐かしい顔があった。 「仮野くん?」  彼は小中高と同じ学校に通っていた後輩で、二年に単位が足りず高校を去った子だった。 「久しぶりじゃな」 「そうですね。先輩、急に帰省してどうしたんですか?」 「ん? まぁいろいろね……。なぁ、これから少し遊ばん?」 「俺は別にいいですけど、この時期にどこに行くんですか?」 「三石城とか?」 「え! この時期に登山してまで見に行きたくないですよ」 「じゃあ神社」 「まぁそこなら……」 「じゃあ、決まり!」  そういい私たちは駅を降り、そこからはお互いに近況報告をしつつ向かっていった。 「今何してるん?」 「吉永の工場で働いてます」 「そっか。頑張っとるんじゃな」 「先輩ほどじゃないですよ」  そういってると三石のシンボルと言っても過言ではない大きな煙突のある工場の横にさしかかった。
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