別れ

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 喉を潤し、私たちは会話を始めた。それこそインペリアル・フィズが意味するような楽しい会話をカクテル片手に私たちは今日の仕事のことや部署での他の人たちの笑い話や愚痴をいいつつすごし、気が付けばすでに二時間も経っていた。  帰り支度をしていると彼は思い出したかのように私に言った。 「じゃあ、帰るか。最後の会話楽しかったぜ」 「え! どういうこと?」 「ぬるいな。もう別れようってことだよ」  彼の言葉が頭の中を反響した。鈍器で殴られたみたいな衝撃を受け、酔いは一発で吹き飛んだ。 「なんで?」 「そんなの別の女の方がお金も顔もいいからに決まってるだろ?」 「なにそれ……」  フリーズする私を他所に彼は「じゃあな」と言い残すと私をおいて一人で帰っていった。
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