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しばらくしてフリーズから解けると私はよろよろとさっきまでいた席に座った。
「マスター。お酒、何か強いお酒だして」
マスターはため息を一つ漏らすと何か作り出した。
卵を取り出し、牛乳を温めて……、おおよそカクテルの材料とは思えないようなものをどんどんだして作っていく。
「ホーム・スイート・ホームです」
マスターに渡されたカクテルを一気に飲み干した。
温かなカクテルがじわじわっと体中を温めていき、次第に実家が恋しくなってきた。
山々に囲まれ家は駅周辺ぐらいしかなく、電車なんて一時間に一本。そんなザ・イナカな地元が嫌で上京したのに……。
じわじわと私の目からは涙が滴る。
拭っても拭っても溢れだしていく涙についには嗚咽まで零れだした。
マスターはそんな私を見て静かにその場を離れるとドアの札をcloseにして店じまいを始めた。
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