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「全然食べてないな。具合でも悪いか?」
隣のシュウちゃんが、箸をあまり動かさずにいた私に気がついたようだ。
「いえ、平気です」
シュウちゃんの方へは向かずに、笑顔をつくって応えた。
「そう、ならいいんだ」
「うわっ、まただ」
マキが急に声を上げた。
「聞いて下さいよ、宮本さん。岡田課長って、いっつも樹里のことだけ心配してるんですよ。私なんか一度も心配されたことないんですからね」
宮本くんに愚痴るマキ。
「そうなんすか? あっ、でも…俺も宮路達は付き合ってんのかなって思ってたからなぁ」
何かが引っかかるみたいに宮本くんは首を傾げた。
「正直さ、俺は宮路には岡田課長のが合うと思うんだよな。さっきの…えっと、なんつー名前だったかな。あっ、山田課長だ。あの人より岡田課長のがいいよ、宮路」
「な、何言ってんの?宮本くん。もう酔った?やだなあ、全く。ハハッ」
笑って必死に誤魔化していた。
本当の自分の気持ちが、決してシュウちゃんには悟られないように。
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