星を数えて

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「俺がいうのもなんだけどよ、さっきのキス。あれなんだ? お前もお前だぞ。ほけらーってしてないで彼氏に注意しとけよ」 テーブルに身を乗り出し、宮本くんは私に鋭い視線を寄越した。 「え、何を」 「これだよ。会社の前だぞ。あんな場所でキスなんかをさせてんじゃねーよ。いい歳なんだから、恥ずかしいだろ? あんな男はやめとけ」 「み、宮本くんにそんなことまで言われたくない」 「なんだと、俺はお前の心配してんだぞ。あれは常識はずれな男だ。どーかしてる、やめとけ」 これから、傘下に入る会社の営業課長に、宮本くんたら、よくもまあ失礼な言い方が出来たものだ。 「宮本くんってば、やめてよ」 だが、失礼な宮本くんの肩を持つみたいにマキが言った。 「悪いけど、わたしもそう思っちゃった。いくら肉食でも山田課長ってば少しやりすぎじゃないのかな?」 「マキまで……」 どう応えたらいいのか悩んでいると、宮本くんが今度はシュウちゃんに 「岡田課長は、どう思いました? さっきのキス」と、意見を求めてしまう。 どうして、わざわざシュウちゃんに聞くの? 宮本くんがシュウちゃんに山田課長のことを聞き始めてしまい、どんどん落ち着かない気持ちが増していった。
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