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見つめ返してから、シュウちゃんは宮本くんへ視線を戻し穏やか口調で続ける。
「俺は……ああいうスタンスの山田課長を羨ましく思いますよ。俺には出来なかったことだから」
「なるほどねー、確かに岡田課長のいうことも、もっともかもしれないですね」
何故か理解出来たとでも言うように頷く宮本くん。
「どうして?」
グラスを手にしたマキが宮本くんを見た。
「いや、好きでも、会社の連中に見られるのは恥ずかしいとか、公衆の面前でキスなんてみっともないとか考えちまうだろ?そういうことを何も考えずにしたい時にキスをする! そんなことが出来る男は俺もある意味で羨ましいかもなぁ?」
そういってから、宮本くんは店内を見回してウェイトレスを見つけ笑顔を見せ手招きをした。
「同じものをもう一杯、いや待ってくださいね、岡田課長、ドリンクは?」
「じゃあ、俺も同じものをください…」
シュウちゃんが私のグラスが半分になっているのを見て『どうする?』って感じにして私を見て、ドリンクのメニューを差し出す。
いつものシュウちゃんとのやり取りだ。
あえて、聞かれなくても目を合わせれば、シュウちゃんが何を言いたいかを理解出来た。反対にシュウちゃんも私を大抵の場合、理解してくれる。
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