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随分驚いたのか、宮本くんは目をまん丸にした。
マキと宮本くんの視線を集めたシュウちゃんは、フッと息を吐いて微笑む。
「付き合ったっていえば、田邊の妄想を満足させられるか?」
シュウちゃんは、マキに向いた。
「へ? 本当は付き合ってない?どっち、え、俺軽くパニックなんだけど」
マキを見たり、シュウちゃんを見たりと忙しい宮本くん。
「妄想? そんなものしてませんよ。今の完璧おかしかったもん。目だけで会話成り立ってたし。会社でも、課長が触るのは樹里だけだし」
マキは、なおも食いついてくる。
未だに状況がわからずにいる宮本くん。
「触る?へ、セクハラ?」
「触るだと、なんか偉く 大袈裟だな、田邊。おまえが誤解するのは勝手だが、間違っている情報を社内に広められたら迷惑だ」
シュウちゃんは少し怒ったように顔をしかめた。
「俺と宮路は、付き合っていない。それに……これからも宮路と付き合うことは、絶対に無い」
はっきりとシュウちゃんが言いきる。
その姿を見て、今、私はシュウちゃんと間にある壁を感じた。
わかっていた。
シュウちゃんが、そう答えるのはわかっていたのに、私はショックを受けていた。
『これからも宮路と付き合うことは絶対に無い』
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