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父さんや母さん、妹を守ることを選んだのだ。そして、シュウちゃんの幸せを心から祈ったのだから。
涙をこらえて、個室から出る。鏡に向かい化粧を直して、弱い心に喝をいれた。
自分が決めたことは、自分しかできない。
私の代わりは誰もいないのだ。そのことを忘れないようにしよう。
鏡の中に映る私は、私であり私じゃない。
自分の中にある思い出にも、未来の中にも、もうシュウちゃんの姿を探してはいけない。
シュウちゃんは、今までもこれからも私には関係のない人だ。
そう決めたのは、私だ。
心の中でもシュウちゃんと呼ぶのは、もうやめよう。そうでないと、いつまでも私は優しいシュウちゃんの記憶を引きずりそうだ。
これ以上は、引きずれない。
私がシュウちゃんを、いや、岡田課長を引きずることを、決して誰も許してはくれないのだから。
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