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さっき席を立ったタイミングがまずかったんじゃないかと少し心配していたが、離れた場所から見る限り、特に問題は無かったようだ。
マキや宮本くんを相手にシュウちゃんが笑顔で話しているのが見える。
シュウちゃんたちのいるテーブルへ戻り、何も無かったみたいに腰を下ろした。
「樹里、コレ美味しいよ。あったかいうちに食べなよ」
マキが溶岩で焼いたという牛タンを勧めてくれた。
「うん、ありがとう」
「宮路よぉ今さ、岡田課長の恋愛観を聞いてたんだよ。いやぁ、熱い男だよ。岡田課長は!」
そう言ってから、牛タンを口に運ぶ宮本くん。
シュウちゃんが何か自分の恋愛観を語ったのだろうか。
今まで一度もシュウちゃんから、そんな話を聞いた事がなかった。
シュウちゃんの恋愛観って、どんな感じなのだろう。
ちらっと隣のシュウちゃんを見た。
シュウちゃんの横顔。高い鼻すじ、シャープな顎のライン。グラスを持つ長い指。
見慣れたシュウちゃんのそれらが今日は、懐かしくて、とても切なく感じた。
そもそも、私はシュウちゃんのことをどのくらい知っていたのだろう。
大学でデザイン学科を専攻していたというシュウちゃん。本当は、デザイナーとして働きたかったようだ。
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