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だが、イマイングループというグループ企業の筆頭株主の息子であるシュウちゃんには、この世に生まれおちた時から既にあらかじめ敷かれたレールがあった。
ご両親に、ゆくゆくは、お兄さんと力を合わせてイマイングループを盛り立てていってもらいたいと言われて育ったシュウちゃん。
デザイン学科へ行くのは、許されたものの、シュウちゃんにその先を選ぶ自由は与えられ無かったらしい。
仕方なくシュウちゃんはデザイナーになる夢を諦めてイマイングループのアパレル企業に入り働き始めて現在に至る。
元来、真面目なシュウちゃんは経営についても学ぶために図書館でたくさんの本を借りて勉強していたのだ。今でも、図書館通いは続いている。
その図書館通いの際に、出会ったのが私だ。
シュウちゃんの家程の財力があれば、本くらい幾らでも買えるはずなのに、シュウちゃんは図書館通いをしていた。
不思議に思って以前、シュウちゃんに尋ねてみたことがある。
『どうして、本を買わないで図書館で借りるの?』
『借りるのは、大抵仕事に関する本だけだよ』
『へぇ、どうして?』
『仕事に関する本は、大抵面白くないんだ。特に経営に関する奴。だから、あえて借りることで自分に期限を設けてるんだ』
『期限?』
『うん、返却日までに全て頭に入れるって期限。買っていつでも読めると思うと、全く身が入らないからね』
あの時に感じた。
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