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「どうしてだと? 教えてやろうか? あ? 宮路」
目を吊り上げた岡田課長が目の前にいたことには、かなり驚いていた。
同じアパレル会社で同じ販売企画部の課長なのだから、同じフロアにいて当たり前といえば当たり前だ。
要は、いる場所が問題だ。
私のデスクのすぐそばにいたことに驚いたのだ。
今は、まだお昼休み時間だ。
居眠りをしていても、問題は問われないはずだった。
だが、デスクに置いてある目覚まし時計に目をやって、思わず驚いていた。
「ええっ、もう1時15分になってるけど! ちょっとぉこの時計、気は確かなの」
時計を持ち上げ、時計の後をみたり、上下に振ったりしてみた。
「アホか。お前の気の方が確かなのか? その時計は壊れてない。なぜなら、見ろ!」
岡田課長の両手で顔を押さえられ、壁にある時計を無理矢理に見させられていた。
フロアにかけられている壁掛け時計が示す時刻は、デスクの時計と同じ1時15分だった。
「岡田課長、あの時計やばいですよ。電池を換えたほうがいいんじゃないでしょうか」
岡田課長は、人差し指で私の脳天をこつこつと突いてきた。
「やばいのは、お前のココだ」
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