紋所

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紋所

体がぐらぐらと揺れていた。 「……起きろ。いい加減に目を覚ませ」 地震?  地震だとしたら、随分すごい揺れ方だ。震度6はありそう。 「おい! 起きろったら起きろ!」 耳のそばでした大きな声にびっくりして顔をあげると、ぼやけた視界が広がった。なんどか瞬きを繰り返していたら、目の前にピンクの物体が下りてきた。 なに、これ。 あ~はいはい、私のスマホですね。 今はスマホをピンクの折りたたみ式ケースに入れている。液晶画面が見えるようにハート型の小窓がついている所がお気に入りだ。 ぶら下がっているスマホを手で掴み、何の気なしにケースを開いた。 「ああ!! やだ、信じられない、割れてるじゃない!」 驚いて椅子から立ち上がる。 なんと開いたスマホの液晶画面には、蜘蛛の巣状に広がるようにひびが入っていた。 ちょっと、うたた寝している間に誰かに何かされたのかもしれない! 頭にかあっと血が上ってきていた。スマホを掴んだ手を震わせながら顔を上げると丁度、目の前に人が立っていた。 「うっわっ!!」 びっくりしすぎて腰を抜かしそうになった。なんとか倒れずに立てていたのが不思議なくらいだ。 「岡田課長……どうして」     
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