新しい風

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新しい風

「宮路、会議室にコーヒーを出してくれ。4人分な」 岡田課長から命令された。 岡田課長というのは、つまりシュウちゃんのことなのだが、会社では上司と部下。それ以上の仲だとは誰にもはなしていない。 「はい、わかりました」 だから、昨日の夜見たようなシュウちゃんの特別に甘い顔を、会社で見ることは一切出来ない。 昨夜、シュウちゃんは、私の家で食事をして泊まっていった。 シングルベッドを2人で使うのは、狭いのだが、そこは愛のなせる技で狭いなりにも何とか仲良く寝られている。 もちろん、泊まったのだからシュウちゃんとは健康的なs○xをした。健康的というのは、私のイメージだが、変わったプレイをしない類いの大人の営みのことだ。 シュウちゃんは、常に優しく私を愛撫しながら、足の爪から頭の先に至る全身にキスをしてくれる。 しびれるような快楽も、自然と漏れてしまう声もシュウちゃんが与えてくれるもの全てによって、私はたっぷり満たされていく。 シュウちゃんと私の身体、唾液や汗といった体液が絡み合い、やがて溶け合いひとつになる。 お互いの高まった快感が、悦びに変わる。そんな風にして、とても甘美な時間を2人で過ごした。 薄暗い部屋、レースのカーテン越しに光る月明かりが見えていた。 汗をかいたシュウちゃんの肌、額についた前髪をそっと指でつまんで額からよけてあげる。額にキスすると、閉じていた瞼が静かに開きブラウンの瞳が私をジッと見つめてくる。 シュウちゃんは、左手で私の手を掴んで右手を私の背中へまわし体を優しくそっと引き寄せる。 私は、シュウちゃんの裸の胸に静かに顔をつける。 「樹里、愛してる」 普段恥ずかしがり屋なのに、こういう時は臆せずに照れくさい言葉を口にしてくれるシュウちゃん。 「ん、私も……愛してるよ。シュウちゃん」 言葉にすれば相手に伝わる。だから、恥ずかしいけど、私もシュウちゃんに気持ちを伝える。 これからもシュウちゃんには、素直な気持ちを伝えたいし、それは必ず伝わると信じている。
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