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願い
いつもどおりに夜は明けた。
きっと、どんな人にも同じように夜が訪れ、朝が来る。たぶん、これこそ、神様が人々に平等に与えたものに違いない。
結局、私は眠ることも出来ずに夜をやり過ごし、新しい朝を迎えた。
★
かなり早めに会社へ着くと、既に来ている人がいてフロアに入るなり足を止めた。
来る途中にコンビニで買ってきたアイスカフェラテとたまごサンドの入ったビニール袋をカサカサさせていたせいで、窓の外を見ていたその人物が音に気づいてこちらを振り返る。
「宮路か、早いな」
シュウちゃんだ。
いつもどおりの課長フェイスで、無表情を装いすかしている。
「……おはようございます。岡田課長」
朝イチからシュウちゃんに会うとは、やりにくい。昨日の今日だし、気持ちはかなり複雑だ。
自分のデスクへ行き、ビニール袋から買ってきたものを取り出してデスクへ置く。
私の場所まで近づいてきたシュウちゃん。
「朝、これから食べるのか」
「はい」
椅子に座りストローをドリンクに差し込んだ。
視線を感じ、見上げてサンドウィッチを差し出す。
「まだでしたら、ひとつどうぞ。2つしかないので全部はあげられませんけど」
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