幸せな日々

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幸せな日々

「お先に失礼します」と、どんどん皆は帰っていく。 「宮路、この資料をコピーしてくれ」 課長が私を呼んでいた。 「はい」 いそいそと歩き、課長のデスクへ近づく。 課長が出してきた資料を手にして、コピー機に向かう。 手にした資料の1番上に黄色いメモがクリップで留めてあった。 メモに書かれた文字を読みながら歩く。 コピー機の前に来ると課長の方を振り返らずにコピー機の1番上にあるフタを開く。 黄色いメモ用紙はジャケットのポケットに入れ用紙をセットする。そして、蓋をしてからコピー機のボタンを押した。 「宮路、それ終わったら帰っていいから」 課長の声が背後からとんできた。 「はぁい」 背筋を伸ばして返事をする。 もしかしたら、今の返事が可愛い子ぶって聞こえたかもしれないと、少し反省もした。 コピー機が作動しているのを確認してから、くるりと回転して窓の側にある課長の席を眺めた。 パソコンに向かっている課長がいる。 真剣な顔していた。 まさに仕事の出来る男って感じだ。 自然と頬が緩んでくる。頭を少し左に傾け、課長をそっと見つめた。 やっぱり、なんだかんだ言っても素敵なんだよなぁ。 はっきり言って課長は、ため息が出る程に素敵なタイプの男性だ。 細くて形のよい高めの鼻、はっきりした唇。その、どれもが私好みだ。 わぁお、なんてカッコいい! 心の中で叫んでみた。叫んでから、くるりと回転してコピー機に向かう。 コピー出来た用紙を取り出して、どうしてもニンマリしてしまう顔を引き締めようと?に力を入れた。
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