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「ありがとう。でも、怪我したりしなかった?」
「してないよ。綺麗な花だから持ってきただけだし」
「ありがとう、優くん!大切にするね!」
「じゃあ、明日から迎えにくるからな。準備してろよ」
優はそれだけ告げると、そそくさと出て行ってしまった。
花をもらったと喜んでいる皐月の表情に先程までの陰りはもうない。
ただ、手にした花を大切そうに見つめている。
「お花は花瓶にいけるから、貸してちょうだい」
「うん、ありがとう!」
嬉しそうに部屋に戻って行く娘を微笑ましく思いながら、那月はそっと呟いた。
「この花に棘があるのは有名なのに……不器用で優しい子ね」
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