花と彼と優しさと

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 そう話して那月に抱きつく皐月の声は震えていた。 幼稚園に通っていた頃から二人は仲が良かったはずだ。 それがどうしてこんなことになったのだろうかと考えていた矢先、皐月が口を開く。 「嫌われたのかなぁ……」 「何か、思い当たるようなことがあるの?」 「あまりない……けど、急に意地悪なこと言ってくるようになった」 「例えば?」  具体例を尋ねてみれば、皐月はふるふると首を横に降る。 余程酷い言葉を吐かれたのだろうかと那月が悩んでいると、大嫌いだと言葉を吐いた。 「大嫌いって言われたの?」 「うん……優くん、わたしのこと無視するようになったし、顔を真っ赤にして怒るの。こっちに来んなって……」 「それは、もしかして……」  もともと隣の家の優という少年は、那月の知っている限りではあまり素直ではないようなそんな男子児童だった。 皐月が幼稚園でいじめられていた時も、優が彼女を助けたという話を聞かされたこともある。 そんな正義感の強い彼がいじめをすると、那月は到底思えないのだ。 「皐月はいじめられているんじゃないよ」 「いじめだよ……だって」 「皐月は優くんのこと、好き?」
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