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那月の問いかけに皐月は小さく頷いた。
娘は優のことを好きな故にここまで傷ついているのたまと考えると、母として那月の胸が痛んだ。
那月は柔らかく微笑みながら、娘の目を見つめて言葉をかける。
「大丈夫。もし皐月が優くんのことを嫌いなら、優くんも皐月のことを嫌いなのかもしれないね。でも、皐月は優くんのことを好きなんだよね?なら、優くんも皐月のことを好きなはずだよ」
「もし、嫌われてたら?」
「その時は、皐月の好きって気持ちの方が強いんだよ」
母の言葉を聞きながら、皐月はあまり理解ができていないようで首をかしげる。
そんな娘に、難しい話をするねと言いながら那月は続ける。
「好きって気持ちは嬉しい気持ちだよね。嫌いって気持ちは嫌な気持ちだよね。でも、好きは嫌いより強い気持ちなんだよ?だから、皐月が好きって思っていたら、優くんも好きになってくれる」
「本当?本当に?」
「ママは嘘なんてつかないわ」
那月の言葉に、皐月の表情が少しだけ柔らかくなる。
それを目にして安堵する那月。
そんな時、ピンポンというインターホンの音が鳴った。
「ママ、見てくるわね?」
「うん……」
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