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「あ、すみません……」
甲斐に手伝ってもらうが
脚に力が上手に入らず
小鹿のようにフルフルと震えていた。
「きゃっ――」
「失礼いたします。」
甲斐にお姫様抱っこされて
ベッドに運んでもらうなんて
情けない……。
「この香り……」
甲斐の胸の辺りから
微かにだったけど甘い香りがした。
また嗅ぎたくなる、そんな香り
この香りどこかで――
「どうかしましたか?」
「いえ……」
どこかで嗅いだことがある香りだった気がしたけど
気のせいだって、この時は思った。
「ここの朝食は美味しいですよ。」
「ありがとうございます。」
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