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 「植芝先生が鉄砲の弾をよけたというのが本当か試そうと、ある人が植芝先生にピストルを発射しました。それも植芝先生はよけてその男の腕をひねり上げました。」  浩輔の話は主語が必ず「開祖植芝盛平先生」で、それがあまりにも荒唐無稽に思われたのか、皆が笑いながら聞いていたのを佳澄ちゃんは記憶している。  時々、「王者への道」などの植芝盛平のビデオなどを視ることもあった。                  *    世界は冷戦を経験し、テロの時代に突入していた。  冷戦は当然、社会主義と自由主義の対立であったが、百年間世界を席巻した社会主義・共産主義とは何だったのだろうか?  実は、これは既に黙示録に預言されていたことであった。  すなわち黙示録6章3~4節に「赤い馬」が登場する。この馬に乗っている者には地上から平和を奪い取って、殺し合いをさせる力が与えられる。  事実、この「赤い馬」に乗ってレーニンが、スターリンが、毛沢東が、ポル=ポトが、ゲバラが、カストロが、金日成がやってきた。  多くの殺戮が行われ、地上の三分の一がこれに従っていた。  しかし、次にやってきた黒い馬(資本主義の怪物)はこちこちの社会主義であった中国までも資本主義に変えてしまった。  手に秤を持って、あらゆるものを「お金」で量るようになったのである。(黙示録6章6節)  そして、これに対抗するかのように「青白い馬」が現れた。それが九・一一に始まるテロの嵐である。  そのテロリストがついに核を手にしたのだ。  世界は恐怖で凍りついた。  そして20xx年、イランから何物かが発射された。  それを最初に捕えたのはイスラエルに配備されていた米軍のレーダーであった。  「未確認の飛行物がテルアビブに向かっています。」  「エルサレムではなくてテルアビブか?」  「飛行コースから考えてそうとしか考えられません。」  「成程、エルサレムはやっこさんらムスリムにとっても聖地だからなあ。テルアビブを狙ったか。ただちに迎撃の用意を!それからイスラエルとヨルダンにこの事実を伝えること。」
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