逃亡者1

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誰かが、学校の中庭の池で、白い首長の恐竜の背中の上で、丸くなって眠っている。 「ここなら大丈夫だよ。ゆっくりお休み」 私は、疲れ果てて丸くなって眠っていた。どれくらい、眠っていただろうか?ゆっくりと目を開けた。「ここは、どこ?」辺りを見渡すと、私が通う中学校の中庭の池。なんか、生暖かい。よく見ると、白い首長の恐竜の背中の上に乗っていた。どうやら、ここで、眠っていたらしい。上を見上げると、人間と同じ背丈の、全身硬い皮膚に包まれた茶色い、まるでトカゲのような奇妙な怪獣が、生徒を追っかけ、捕まえていた。私が乗っていた白い首長の恐竜は、ゆっくりと岸へ近づいた。私は、「ありがとう。行ってくるね。」と言って、岸へ降りた。それから、逃げた。走って走って、怪獣たちに捕まらないように逃げた。学校の裏口まで、たどり着いた。振り返ると、校舎の横にある体育館に、怪獣たちが生徒たちを捕まえた生徒たちを連れ込んでいた。中からは、悲鳴に近い声がした。私は、自転車置き場まで走り、自転車に飛び乗り学校を出た。自転車を必死にこぎながら考えた。どうして、こんな世界になってしまったのだろう? 学校を出て、ふと気が付くと5、6人の生徒が、私について来てた。そして、何か視線を感じて振り返ると、とてつもなく大きな怪獣が学校がある方向から、私たちを見ていた。 ナナミは、パッと目を開いた。夢だったのか?なんだか息苦しい。それに、うなされてたようだ。寝汗もかいてびっしょり。「のどが渇いた」ゆっくりとベッドから、起き上がり、キッチンに行って、冷蔵庫を開けた。500mlの天然水を一本手に取った。ふたを開けて、3分2ほど、一気に飲んだ。よく、冷えてて、のどが潤いだ。次に、シャワーを浴びた。夢がフラッシュバックしてくる。あれは、何だったのだろうか?「白い恐竜?」「怪獣?」妙に、生々しい。「夢の中で、寝るなんて…」でも、心地よかった。温かくて優しくて、とても安心感があった。そしてナナミは、残りの天然水を飲み干した。できれば、もう一度、あの白い恐竜に出会いたい。そう思いながら、再び、部屋に戻って寝た。
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