遠い日の二人②―高2・夏 君への想い―

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軽音部の活動する第2音楽室では、それぞれがパートの練習をしたり雑談をしたりしている。 「もうすぐ夏休みだなー」 シンヤがドラムのスティックを指でクルクル回しながら呟いた。 「それなのに予定が何もねぇんだよ。彼女がいるヤツは楽しいんだろうなー」 「だろうね。オレも予定ないよ」 ユウがギターの弦を無造作に(はじ)きながら答えると、シンヤは大きく首を横に振って大げさにため息をついた。 「またまた……そんなこと言って、どうせユウはレナちゃん誘って花火大会とか祭とか海とかプールとか行ったりすんだろ?うらやましい!」 そう言われてみれば、前もって約束をしてまでレナと一緒に出掛けたことなんか一度もないなとユウは思う。 もちろん今年の夏休みもいつも通りだ。
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