遠い日の二人②―高2・夏 君への想い―

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遠い日の二人②―高2・夏 君への想い―

ジメジメした梅雨がようやく終わる頃、1学期の期末テストを終えた生徒たちの間では、夏休みへの期待と解放感が漂っていた。 倉沢から〝今日はミーティングの前に新入部員を紹介する〟とメールが届いたその日の放課後、レナはこんな時期に入部するなんて珍しいと思いながら理科室に足を運んだ。 理科室には既にほとんどの部員が集まっていて、その中には例の新入部員らしき男子生徒の姿もある。 レナが目立たないように端を通って後ろの方の席に着こうとすると、その男子生徒が歩いてきてレナの隣の席に座り、ニコリと笑い掛けた。 「高梨先輩、お久しぶりです」 「あ……水野くん……」 この人懐っこい笑顔はよく覚えている。 中学時代に所属していた吹奏楽部の後輩、水野(みずの)(たかし)だ。
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