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「そもそも、何でそんな若い子とお見合いなんてしてんのさ?」
光輝が不思議そうに首を傾げた。
仕事の関係で、取引先のお偉いさんから知り合いの女性を勧められることもある。
取引先の接待に女性を連れてこられたこともあるのだが、それもこれも全部当り障りなくスルーしてきた。
「最近じゃ、最早結婚なんてものには興味ねーんだと思ってたけどなー」
「俺も、ブッシーは結婚どころか、好きな人も作らないものだとばかり思ってた」
「好きなものに没頭してたしな」
独身貴族という言葉がぴったりな生活を送っていたと仲間たちが言う。
自分でも、結婚しかり好きな人すらいないことも何とも思わなかった。
この仲間たちが相手を見つけ結婚したのを機に、たまたま仕方なく見合いを一度受け入れただけだ。
「親孝行で受けた見合いだったんだが……」
小さく息を吐いた。
「出会ってしまったんだ」
そう、出会ってしまったのだ。
「まさか本当に、清楚で可愛らしくて、小動物の様な天使の様な、なんなら背中から天使の翼が生えていそうな女性がいるとは思わないだろう」
「え……まさかそれブッシーの理想?」
「そうだ。それを兼ね備えただけじゃなく、俺と趣味も合う。そんな女性が他にいると思うか?」
「……そうだって言い切ったよ……」
「潔いな」
「つーか、あんな理想があったなんて初めて知ったぞ」
「人にはそれぞれ好みってもんがあるんだ。お前らそう言ってやるな」
「かわいい子なら、私会ってみたいなぁ」
こいつらは俺の話を聞いてるのか聞いてないのか……。
眉を寄せむぅと口を引き結ぶと、大虎がふと武士を見た。
「いいんじゃないか?」
「その人がたまたま19歳だったってだけでしょ?」
「あーでもよ、若菜、気をつけろよ?彼女連れて酒の席とかまずいからな。それから、ラブホ入ろうとしておまわりにつかまったりするなよ?」
「あはははっ!銀ちゃん、彼女の初めてはラブホじゃまずいでしょー!」
「ちょっと二人とも!!デリカシーがないわよ」
芽衣が光輝と銀へじろりと視線を向けた。
「それに若菜さんがそんな常識無い行動を取るわけないわよ」
「芽衣さん、俺はラブホには……」
「は?お酒の席の話!」
ぴしゃりと言われ、武士は顔を引きつらせた。
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