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無邪気と言えば、無邪気かもしれない。
そんな子供の未来を、ここで奪っていいのか。
明希は、頭を激しく振った。
日向が誰かに言えば、自分の身は危なくなる。
自分の命と、日向の命、どちらが重い?
普通の人なら、人殺しの命と比べるなと言うだろう。
だが、明希はまだ、生きたい。
この先、どうなるか分からない人生を、もがきながらでも生きたい。
明希は、弾をセットした。
「日向、ごめんね。」
銃口の向こうに、日向の頭が見える。
引き金を引くのは、今だ。
その瞬間だった。
日向が銃口に向かって、真っすぐにこっちを向いた。
「いいよ。」
日向は、両手を大きく広げた。
まるで、撃って下さいと言わんばかりに。
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