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男の声が、周りに響いた。
その瞬間、情が明希に覆いかぶさった。
ガサガサッと言う、茂みが揺れる音に気付き、男は茂みに近づいて来た。
明希の体に、情の鼓動が伝わる。
ここで見られたら、一巻の終わりだ。
このまま立ち去ってくれ。
情の願いも虚しく、男は情を見つけてしまった。
だが男は、情と明希が茂みで重なり合っているのを見て、遠慮したらしい。
少しずつ、遠のいて行った。
ほっとした情。
明希から体を放し、銃に手を伸ばした。
「行ったか……」
情は銃を隠し持ちながら、茂みの中から出て行った。
その時、後ろからあの男が、声を掛けて来た。
「村上?村上か?」
情が振り返ると、その男は情の知り合いだった。
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