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「何しに来たの?」
「おいおい、久しぶりに会ったのに、そんな口調あるかよ。」
情は、明希に顔を近づけた。
ふんわり香る煙草の匂い。
情の側にいる時は、この匂いが何よりも愛おしかったのに。
今は、邪魔な匂いでしかない。
「日向なら、ここにいないわよ。」
「嘘つけ。二人で暮らしているって言うのは、既に承知の上だ。」
明希は、バッグを強く握った。
日向が帰って来る前に、この男を何とかしなければ。
そんな二人を、周りの通りかかる人は、ジロジロと見て行く。
「とにかく、早く中に入って。」
明希は、情を家の中に押し込んだ。
情は中に入ると、自分の家のように靴を脱ぎ、テーブルの前に座った。
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