魔王をぶっ飛ばせ!

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その頃、アリスにぶっ飛ばされた北の魔王は…… 「ジーン……お前は本当に男だったのか? ああ、ジーンよ……」 魔王の間でしゃがみ込み、一人でブツブツと呟いていた。 すると、魔王の間の扉が開く。 「魔王様、お久しぶりです」 「ドードーではないか。どうした?」 「南の魔王様が、ジーン殿を連れ去ったと耳にしました」 「何だと!? クッ、弟め……だが、今の我にはどうする事もできぬ」 魔王は立ち上がる事ができず、暗い表情で俯いてしまった。 「何故ですか?」 「我は敗れたのだ。例えジーンを取り返したとしても、あの姫や執事が許すまい」 「そうでしょうか? アリストセバスたちは、そんな細かい事など気にしないでしょう。一緒に助け合えば、ジーン殿との婚約も認めてくれるはずです」 「……ジーンは男だぞ?」 「性転換の秘術を使えば良いのです。過去に魔王様自身がおっしゃられていましたよ。愛があれば、どんな障害も乗り越えていける……私には難しい言葉ですけどね」 「弟は強い。それに、配下の魔物のレベルも高すぎる」 「だからこそ、アリストセバスと協力するのです。この私も、必要であれば尽力致します」 「……まだ、我について来てくれるというのか?」 「みんな、魔王様の復活を願っていますよ」 北の魔王は立ち上がり、自ら封じていた凄まじい魔力を解放する。色を失っていた瞳には、力強い光が宿っていた。 「ドードー、召喚の鈴を二つ渡しておく。一つはチェシャに持たせておけ。いつでも戦えるよう、準備だけはしておくのだ」 「了解しました。行ってらっしゃいませ」 こうして、ジーンを救うべく北の魔王も動き始めた…… 【完】
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