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「遊びに来たぜ」
「アリスちゃん、元気だった?」
「久しぶりね。急にどうしたの?」
「ジーンがどれくらい男らしくなったかを見に来たんだよ」
「少しだけマシになった程度よ。それより、紅茶はいかが? セバス、お願いね」
ハッタとヘイヤの紅茶も用意され、平和なお茶会を楽しむ。話題は勿論、北の魔王討伐の思い出だ。
「……まあ、色々あったよな。魔王を倒すなんて無茶苦茶な依頼は勘弁だけど、簡単な依頼だったら報酬次第でまた仲間になってもいいぜ」
「私もあんなに面倒な旅は御免だわ。まさか、魔王をぶっ飛ばすまでの道程があそこまで……」
話を遮るように、どこからか悲鳴が響き渡る。
ただ事ではない。アリスたちは万が一に備え、戦闘準備を始めた。すると、召使のリリスが駆け込んでくる。
「アリス様、大変です! 庭園に南の魔王が現れました」
四人は顔を見合わせ、勢いよく駆け出した。
庭園に着くと信じられない光景が映し出される。
「あっ、アリス! 助けてくれ」
デジャヴ?
ジーンが南の魔王にお姫様抱っこされていた。
「フハハハハ。姫は頂いて行くぞ」
……
……
「もう、どうでもいいわ」
「そうですね」
「そうだな」
「そうよね」
……
……
アリス達は冷めた目でジーンを見送った。
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