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メリルって、本来は上品でおしとやかな良家のお嬢様なんだけど、今朝は違った。好奇心オーラが全開で放出されている。
少し垂れた大きなヘイゼル色の瞳は、キラキラと輝きまくっている。
ドアが開くのも待ちきれずに、隙間からスリムな身体を滑り込ませ、あたしの手を取るといきなり怒涛のマシンガントークが始まった。
「ごきげんよう、テス。どうなりまして?
気になって、押しかけてしまいましたわ。だって、あなた、あれから何も言ってこないのですもの。
あの後、彼に会いに行ったのでしょう。今からデートだって、ニコニコ幸せいっぱいってお顔していましたもの。もう、ごちそうさまって感じでしたわ。
相思相愛のお相手がいらっしゃるって、とっても素敵なことですわね。うらやましいですわ。
わたしも大学生活を送っている間に、たくさんの殿方と恋愛をしてみたいと思っていましてよ。うふふ、これはわたくし事ですわね、ごめんあそばせ。
それで首尾はどうでしたの? 結果が気になりましてよ。
わたしまでソワソワしていますのに、テスったら結果報告してくれないのですもの……水臭くってよ。あら、どうしてそんな顔なさっているの?
――ねえ、テス。ちゃんとリックにプロポーズしていただいたの?」
満面の笑みで繰り出される、残酷な質問。もちろん悪気がないのは、十分理解しているんだけど……。
「あ~~~~ん!!」
もう、泣くしかないッ!
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