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長い腕を伸ばして取ったボトルをあたしに渡しながら、クリスタが反論する。
「あらあ、おめでたいことは、早い方がよろしくってよ!」
「そりゃあ、テスがリックと結婚すれば、あたしの面倒事の半分は無くなるだろうから大歓迎さ。
基本、リックは悪い奴じゃないからな。スポーツマンで一本気だから、多少押しつけがましい
ところはあるが、間違ったことは言わんし。
まあ、モテるんで、すぐに図に乗るところが欠点かな」
「ふぇえん、だ……だから、だ…から、結婚なんて、ひっく、ひっ……しないんだからああ」
「ああ、よしよし」
そう言って、クリスタはあたしの頭を撫でる。あたしの意見、無視?
「でも、リックってお幾つなの。えっ、20歳。それは若いわ!!」
ちなみに、毒舌クリスタも、「若い!」と言ったメリルも、そして泣いているあたしも、ここにいる3人は全員18歳なのよ。
「殿方の20歳なんて、まだ子供でしてよ。身長ばかり成長しても、精神年齢はお子様ですもの。小学生と大差ありませんわ。
テス、あなた、結婚相手を選ぶのでしたら年上になさいましな。包容力のある、落ち着いた大人の殿方がよろしいわ。
そうですわねぇ、思い切って30歳くらい年上なんていかが?
きっと可愛がってくださるわよ」
「いやぁ、大人のオトコじゃ、テスがお子ちゃま過ぎて、相手にしてくれないさ。
ここはあと5年ほど余裕を見て、リックが大人になるのを待つか。んん……あいつのことだから、もう少し期間を追いて7年のほうがいいか。
せめて就職してくれんことには、なあ。経済力の無いオトコはつらいぞ」
もうふたりとも、あたしを肴に遊んでいる。
その後もあたしを置き去りにしたままの対策会議なんだか、ふたりの恋愛持論討論会なんだかが続いていた。
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