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「過去の過ちだわ。あたしまだ18歳なんだし、結婚なんてしない! 女子大生ライフを満喫するの。学士課程の資格取得して、キャリア積んで、バリバリ仕事のできる女になるの! リックともバイバイって決めたのよ!」
思わず握った両手のこぶしに、力が入る。
冷めた目であたしを見ていたクリスタは、がっくりと肩を落とし、盛大な溜め息を吐いた。
暗い表情のまま、長い指でフォークを取ると、スクランブルエッグを突きだす。
「……がんばれ、テス。……で、リックとはちゃんと話をつけたのかい?」
TVニュースの話題は、最近問題になりつつある超常能力を持つ人たちの能力制御不能による不可抗力事故なんちゃら…で、クリスタの興味はそちらに傾きつつあるのね。
だからなの、声が多少うわの空に聞こえるよ。
「……は……話って……」
反対に、あたしの声は固くなる。
ニュースキャスターはゲスト解説者に、「専門家のご意見」を求めている。解説者はしたり顔で超常能力保持者の自由の法的規制を訴え始めた。
他人の自由に口を出すなんて、なんて心の狭い人なんだろうって思うけど、そうも言っていられない事態がどこかで起きているらしい。
そういうあたしだって、大変な事態に陥っているんだから。
「だから、別れ話」
視線を完全に画面に固定しフォークを動かす彼女の手を制して、ここぞとばかりに話を切り出す。
「それなんだけど……」
今だわ、このチャンスを逃しちゃいけない! と親友にかじりつく。
「ねぇえ、クリスタ。どうやってリックにその話を切り出せばいいと思う?」
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