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2.九灯明日人《くとうあすひと》
眼が覚めたとき、新聞紙を敷いた段ボールの中にいた。
矢を抜いた翼には当て木がされ、包帯が巻いてあった。
傷口をほじくり返さないようにか、首にプラスチック製のエリザベス女王みたいなカラーが巻かれているのは参った。
なんて間抜けな格好だ。
傷そのものは完全に塞がっていたが、翼を広げると少しうずく。
プラスチックの鉢にたっぷりの水と菓子パンがあったので、遠慮なく平らげると、しぼんだ風船のようだった体に活力が戻ってきた。
段ボール箱から飛び上がると、玄関の土間だった。
靴磨きの臭いがしている。
姿見に映すと、カラーにどこかの獣医の名前が書いてあった。
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