王の牙

５．宇津保（うつほ）のグループ

　写真の四人を密かに尾行し、足取りと行動を逐一報告しろというのが明日人の言う仕事だった。

提示したのはいずれも近所の大学に通う学生で、十代後半から二十代前半だ。
こっちより少し年上というところか。

　義理堅さは俺の誇りだが、あまり気乗りしない仕事だった。
あの明日人という奴、恩人とは言えどこか気に入らない。

俺が老人嫌い（四十代は俺からすれば老人だ）ということもあるが、元警官だけあって自分が命令を下す側だという態度だし、仕事の内容もいまだに現役気取りなものだった。

「警察に任せないのか？」

「言っただろ？　あんな奴ら、役に立たない」

　いまどきの若い奴らは俺がいなきゃ何にも出来ない、という態度で彼は言った。