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「別に面白がってるわけじゃねえけど」
翔はニヤリと笑って、
そして、
愛の体をふわりと抱き寄せた。
蝉の声が高く鳴る。
青い空に、その高い音が突き抜けていく。
翔は、愛の耳元に口を寄せ、静かに言った。
「その時はまた、俺が守ってやるよ」
「・・・守られてばっかだ」
拗ねた子供のような声がでる。
そんな自分が嫌になる。
でも、それでも、
あなたがそんな私を、求めてくれるなら。
「気にすることはない」
翔が続ける。
一段と高くなる蝉の声にかき消されないようなはっきりとした声で、
彼は、愛の耳元に囁いた。
愛している、と。
fin
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