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ーーーそこで、目が覚めた。
気づいたらバスはもう、目的地間近だ。
「愛ー。おはよー」
隣の席の夏江が、ニコニコと笑いながら言った。
「ごめん、寝ちゃって」
「大丈夫ー。私も今起きたから!」
今日の夏江は、一段と可愛い。
髪の毛はお団子にゆって、可愛らしいシュシュをつけている。
「動きやすい服装」と指定された服装は、フリルの花柄ミニスカート。夏江にとっての「動きやすい」と「露出度」は比例関係にあるに違いない。
「今日はね、目一杯おしゃれしてきたの!」
柏原君に、告白するから。
「うまくいくといいね」
微笑む。胸が痛い。
好きと素直に言えて、その為に一生懸命頑張れる。
最高に、可愛いと思った。
夏江にとっては甘酸っぱい、
愛にとっては命の危機、
そんな、遠足当日である。
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