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「その話、俺を保護した大人達に話したが、誰も信じなかった。子供の妄想だと笑って・・」
「そうだろうな・・しかし、ただ笑うだけじゃなく、もっと作意がなかったかと、思わなかったのか?何も無いのに、ヘリコプターの部隊がおまえの両親を殺しに来ると思うかい」
「いや・・」
「そうだ、そこには、何か陰謀があった。おまえを保護した大人たちも、それを知っていたのだろうな。それで、おまえの意見を握りつぶした」
「う・・・ム」
「しかし、おまえがそれがわからず、おまえの言うことを信じてくれない大人たちを、そして、両親を殺した人間たちを憎み、呪った。全方位に向かって」
「でも、どうして、オレは、愛する人を、いや、愛する人だからこそ、なおさらに不幸にしてしまうんだ?それも、俺の呪いだというのか」
「それは・・おまえがご両親を憎んでいるからさ。あのアラスカの雪原のど真ん中なんかに小屋を作った挙句に、暴漢に襲われて死んで、お前をあの雪嵐の中に放り出したことをな・・ある意味、無理の無いことだが、しかし、おまえはその感情を押し隠したまま、ここまで生きてきたのだ」
「まさか・・俺は、親父も、母さんも恨んできたというのか・・オレは愛して、愛して・・」
「愛しているからこそ、憎んでしまう。それが人間の厄介なところなんだ、判れよ、少年。むしろ、愛しているからこそ、そのように恨んだり呪ったりしてはいけないと自分に言い聞かせてきたのだ、そのせいで、そうした感情が自分にあることをわからなくなってしまってきたのだ」
「う・・ウム」
「それは、私だからわかるのだよ、幻魔を内に宿したわたしだからね。人の中の心の闇には、おそらく他の能力者よりも敏感に反応できる。ジョッシュ、おまえの心の底にはそうした恨みの思念がどす黒く渦巻いて、それが外にかなり強烈に漏れ出しているのだ。それが、おまえの周囲の悪運の正体なんだ」
「オレが・・オレが、周囲を呪う」
「おまえの魂には、そういうカルマがあるのかもしれないな。人を呪い易い・・」
「しかし、そんなことあってはならないだろう、オレは、オレは狼だから、周囲を呪うなんて醜い、人間みたいな生き方なんか」
「そうだ、そのプライドで、おまえはそのおまえの醜い心を”無いことにした”のだ」
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