金狼、銀月

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「ええ、まあ」 「山本明、それがキミの日本での名だったね」 「ええ、父方の名前で」 「お母さんが、ロイス・イヌカミ」 「調べたんですか?」 「まあ、ちょっとね。ぜひ、キミと友達になったほうが良いと、ウエの判断でね」 「無理すること無いですよ、オレは、別に友達とかいなくても、哀しくともなんともないから。まあ、オレは性格が悪いそうだから、ほっておいても友達が出来ないようですが」 「それだから、日本には、半年も居なかったのだね・・都内の高校に入ったけど」 「オレは天世の風来坊だから。ちょっと旅行気分で行っただけだし。親父のふるさとを見てみたかっただけで」 「キミには、双子の兄か弟が居るのかい?」 「え・・」 「キミが日本に入る半年前に、日本に入った少年が居る」 「む・・」 「父は山本竜太郎、母は、ロイス・イヌカミ・・そして、彼の名は犬神明」 「・・・」 「しかし、彼は、日本で起こった学園暴力事件で命を落としている。最期は東明会で起こった敵対ヤクザ組織のカチコミ・・襲撃による乱闘に巻き込まれて、かわいそうに、死んでしまったそうじゃないか」 「・・・」それでも、緊張で、ジョッシュの眉がぴくぴく動く。 「なんでも、彼は東明会の幹部の息子と学校でトラブルになって、それを仲介させようとした女教師に連れられてそのヤクザの本部に行ったようだね。そこで、不幸にもヤクザの襲撃に巻き込まれてしまったそうだ、違うかね、ジョッシュ君」 「さあ、偶然じゃないですか、それは」 「そうだね・・彼の遺体は、その後、火葬にされたからね」 「でしょ、”火の鳥”、不死鳥じゃあるまいし、灰の中からよみがえるって分けには行かない」 「そうだよね。でも、その直後、不思議な話しがある。東明会のヤクザ屋サンの間で、”犬神明が生きているので、探せ”って指令が出ている」 「へえ・・なんででしょうね?僕は、何も知らない。知ろうとも思わない」 「そうかな?あの女先生がその後どうなったか、興味ないのか」 「青鹿先生が、どうなったかなんて、オレは興味が無い!」瞑想していたジョッシュが、搾り出す様に言った。 「そうか、その女先生、青鹿さんというのか、知らなかった・・で、どうして、キミがそれを知っているのだ、ジョッシュ・パーミター」
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